君だけは離さない




翌日―――――





響はいつもより早く目が覚めた。――――というより隣に美桜がいるかと思うと眠れなかったのだ。




今日は仕事が立て込んでいて深夜まで家に帰る事は出来ないのが残念でならない。
仕事も何もかも放り出して彼女の側にいたいが多くの社員がいる手前それは出来ないが近いうちに纏まった休暇を取り自宅で仕事が出来るように切り替えて行こうと考えていた。




「おはようございます。坊ちゃん」

「おはよう、菊……いい加減坊ちゃんはやめないか?俺は26だぞ」

「いいえ!坊ちゃんは坊ちゃんでございます!」

「まぁいい……菊、話しがある」



響が菊と呼ぶこの女性。

名前を橋田菊子という。響が生まれる前から西園寺家で働いている使用人で幼い頃からずっと世話になっている女性だ。

菊子に美桜の事情をある程度話しておいた。誰よりも信用出来る菊子にしか自分がいない間彼女を頼めない。




「坊ちゃん、事情は分かりました。しかし菊は反対でございます。すぐに彼女を帰してあげるべきです」




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