君だけは離さない





その日もいつもと変わらない一日。激務を終えて女性と夜を過ごして日付が変わる頃に自宅へ帰って来た。


自宅は都内にある大豪邸で何人かの部下と使用人も住み込みで生活している。


家自体がかなりの部屋数と離れもあるのでプライバシーはしっかり守れているし離れに部下や使用人が生活していて緊急時には部下や使用人が同じ屋根の下にいると何かと都合が良い事もある。
響が不満をもつ事はなかった。


ただ一つを除いては………。


「社長。実は新しい女を連れて参りました」

「………………。」


いつも部下は響に女を寄越す。自分で適当に選んだ女はまだしも部下に宛がわれた女を相手にするのは面倒だった。

いつもは相手もせずに部下にくれてやるのだが何故かその時はしなかった。


「適当に置いておけ」

「はい。それで一つ問題が……」

「問題?」

「実は連れ去ったらしくて……」

「連れ去った?犯罪だろう……」

「ですが連れ去る程の価値があるんです。今まであんなに綺麗な女を見た事がありません!」



< 4 / 22 >

この作品をシェア

pagetop