君だけは離さない
女性がいる部屋のドアを開けるとソファーに横たわる一人の女性がいた。
まさか眠らせたのか?!
響は頭が痛くなった。完全に犯罪ではないか……。
まぁ彼くらいの地位も権力もあれば少々の犯罪くらいは簡単に揉み消す事は出来るには出来るが……あまり気持ちの良いものではない。
響は小さく溜息をつきながら女性が眠るソファーに足を運んだ。
眠る女性の顔を見た時、脳天から衝撃が突き抜けて全身が凍り付いたかのように動けなくなった。
女性の顔に見覚えがある。
正確に言えばこの女性の幼い頃の姿の顔に見覚えがある。
間違いかもしれない。そうも考えた。何年も探していた人間が目の前にいる。こんな事が起こるだろうか……
動けない体をなんとか動かして、跪く。女性との距離が近くなった分さっきより顔がよく見えた。
透き通りそうなくらい白い肌。長い睫毛。形の良い唇。
眠っていても彼女が美しいと分かる。
目を開けたら一体どんな顔だろうか?
響は思った。
目を開けたら女性が自分が探し求める人物なのかどうか一目で分かる。記憶の中で幼い少女の目に特徴がある事を覚えていた。