君だけは離さない
君があの時の子じゃなかったら今日起きた事を他言しないように脅してすぐにここから出すだろう。だが、あの時の子だったら俺は一体どうすればいい?俺は君になんて言えばいいんだろうか……
女性の頬にそっと触れてみた。
しっとりと柔らかい肌。触れると吸い付いて来るような気持ち良さだった。
今までこんな美しい肌の持ち主はいなかった。
「………う………ん……」
響が頬に触れたからか彼女の覚醒が近い。
「……………。」
覚醒の兆候を見せた彼女を前に響は緊張した。
そして……………
ゆっくりとその瞳が開かれて………
寝ぼけ眼の彼女と目が合う。体をソファーから起こした時、真っ直ぐに腰まで伸びた髪が肩からサラリと落ちた。
「あの……失礼ですが、どちら、様……ですか?ここは……何処ですか?」