君だけは離さない
開かれた目は色素の薄いブラウン。いやゴールドに近い色だった。
彼女のその目を見た瞬間、響は驚きのあまり目を大きく見開き……
目覚めた彼女が言葉を発したのを聞き逃していた。
「……美、桜……?」
「……えっ?あの……どうして私の名前を?」
その時、響はハッとして漸く我に返った。
そして自分が今、無意識に彼女の名前を口にしていた事に気が付いた。
そして彼女の反応からして、名前は間違えていない事を核心した。
「あの………ここは何処ですか?貴方は……誰?」
目が覚めて頭も冴えて来た彼女は自分の置かれている状況を把握し始め、その表情には不安な気持ちがハッキリと出ている。
「ここは俺の家だ。そして、お前はもうここからは出られない」
響は静かにそう言った。