訳有彼氏

 食事を摂る事の少ない私に、鴉孤が言った。一緒に居る時だけは絶対に食べること。

 これは私達二人の約束であり、決まり。

 「だって、空はあこじゃないもん。」

 人格を否定してるわけじゃない。空という人格を認めているから故の発言。

 空は悲しい目をして、手を離した。

 私は一人、二階の自分の部屋へと上がる。

 だけど、一歩進む度にお姉への申し訳ない気持ちが募っていって、何だか悪い子になった気分になる。
 
 悪いのは直人さん。私は悪くない。

 廊下を歩き、階段を上り、ドアノブを捻って、自室のベッドへダイブした。

 直人さんは鴉孤の叔父なのに、理解が足りない。

 鴉孤のことをちゃんと考えていない。


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