訳有彼氏

 弱った長門を押しのけたのは、空だった。

 いい加減にしろと叫びたいが、それどころではない。

 誘を抱きあげ、家に入る前。

 一瞬だけ、鴉孤に意識を乗っ取られた。

 鴉孤は抱き上げていた誘を抱きしめ、その乱れた髪を直し、唇に唇で触れた。

 そして、涙を一筋落とし、ゴメン。と言う言葉と同時に空に意識を託した。

 何が起きたか、知れない空は舌打ちを落とし、扉を蹴破った。

 
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