訳有彼氏

 第一空は、

 ≪俺は…見ていることしかできなかった≫

 だから

 ≪俺は長門と同じだ≫

 俺は

 ≪カラスと同じだ≫

 だから

 ≪泣くしかくなど、あるはずもない。≫

 それを悟り、里美は空を抱きしめた。

 今の鴉孤は自分の息子ではないけれど。

 今の鴉孤が許されることはないけれど。

 それでも、抱きしめた。

 
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