訳有彼氏

 「…まだ子供だと思っていたのに。」

 里美は優しく鴉孤の頭を撫でた。

 「…子供よ。親にとって、子供はいつまでも子供。」

 聖子が里美の体を抱く。

 聖子の体は震えていた。

 「…あーちゃんの中には沢山の人が居て、人より沢山のことを悩んでしまう。傷つかないためにいるのにね…」

 涙は聖子から零れている。

 たとえ寝ていても、鴉孤の前では泣かないと里美は決めていた。

 鴉孤は弱い子。

 だから、私が泣いてはいけないの。

 私が守らないといけないの。

 強い責任感が、里美にそうさせた。

 
 
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