訳有彼氏

 項垂れた私の頭をみー君が撫で、余計に悲しくなる。

 「ゆう。起きたか?」

 「お姉。おはよ」

 ノックもせずにお姉が入ってきて、何気にビビるチキンな私。

 「熱は、引いたな」

 私のおでこに手をあて、お姉は頷いた。

 「熱、あったんだ」

 「あった。」

 人事のようなお姉の発言にムッとしていれば、お姉は掛け時計に目をやった。

 「もう起きろ」

 「…絶対安静なのでは?」

 「起きろ。」

 「はい。」

 有無は言わせないらしい。

< 60 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop