あの日【短編】
白石は会議室から出ていってしまった。
黒い柔らかそうな長い髪の毛を揺らしながら……
「…はぁ」
結局何も分からなかった。
みんなして僕に何を隠してるんだ?
そんな隠さなきゃいけないことなのか…?
僕はただ一人、
"白石千草"の存在だけが思い出せずにいた。
ずっと僕が授業を担当していたみたいだけど
転入生にしか見えず、今日の授業だってなんだか白石だけが浮いているような気がした。
一部の記憶喪失ってやつ…?