あの日【短編】
♪~♪~
タイミングよく僕の携帯が鳴った。
メールを受信した音だった。
差出人は高校の時の同級生の拓也からだった。
"また今年も千尋の命日に集まりたいと思う!都合は平気?"
………千尋?
だれだ、千尋って。
「親父、千尋って誰」
その瞬間、親父がテレビから僕に目を合わせた。
お袋も料理を持ってくる手が止まる。
「…龍太、千尋ちゃんだよ?高校時代の同級生の……」
高校時代の同級生……?
「…全然思い出せない」
僕は頭をかかえた。
この感覚は白石千草を忘れた時の感覚だった。
「まあ…あれだろ。まだ退院したばっかだから頭が働かないんだろ」
親父はまたテレビに目をやった。
僕は携帯の画面の拓也からのメールを見つめていた。