あの日【短編】
夕飯が終わると、僕はすぐさま自分の部屋へと向かった。
押し入れの奥をガサゴソとあさってみた。
「……あった!!」
僕は何年ぶりかに見る高校の卒業アルバムの表紙を眺めた。
紺いろの表紙はうっすらとホコリがかぶっていた。
一ページずつめくっていくと、懐かしい先生の顔がズラリと並んでいて僕の口元は自然に緩んだ。
"3-A"
クラスページに入って、仲の良かった友達の個人写真を眺め、一人一人を思い出した。
そしてある写真で目が止まった。
"白石千尋"
僕の口元の緩みは消え、心臓がうるさいほど鳴り響いた。
黒い柔らかそうなストレートな髪の毛、
白い肌に薄く塗っているピンク色のチーク、
大きな栗色の瞳に、
オレンジ色にテカった唇……
少し緊張しているのか唇は無理に緩ませていた。
「白石千尋…」
それは顔も名前も白石千草にそっくりだった。