あの日【短編】
数学のプリントを鞄にしまい、階段を降りてる途中だった。
「…ねぇ、あんた本当に見えるんでしょ?」
下駄箱の方を見ると、クラスメイトの派手な女の子たちが数人藍ちゃんを囲んでいた。
私は思わず足を止めた。
「見えるからって文句ある?」
藍ちゃんは腕組みをして女の子たちを睨み付けていた。
…何が見えるんだろう?
「キャハハハ!まじキモいんだけど!頭大丈夫~?アイツがいなくなってからお友達いなくなっちゃったからアイツが出てきてくれたんだ~!」
「アイツ意外に優しくねー?」
「てか怖くね?」
キャハハハと笑う女の子たちに藍ちゃんはさらに睨み付けた。
「千草をそんな風に言うなんて許せない!!
千草は死にたくて死んだんじゃないんだからっっ!!」
そのとき私の身体全身に鳥肌が立った。
なんだかゾクゾクして寒くなった。
…藍ちゃん、
何言ってるの…?