あの日【短編】
「死にたくて死んだんじゃないにしてもさー龍ちゃん犠牲にするとか何?死ぬまで人に迷惑かけるとかアイツほんとなんなの~ねぇ?」
「ほんとほんと!龍ちゃんまじ可哀想だし」
「……やめてよっっっ!!」
叫んだのは藍ちゃんではなく私だった。
藍ちゃんだけが振り向いて、女の子たちは気づかずにまだしゃべっていた。
…そっかぁ、
そういうことだったんだ………
私は地べたにペタリと座り込んだ。
藍ちゃんは女の子たちから抜けて私を抱きしめにきてくれた。
「…ちょ、何してんの?」
「アイツが出てきたんじゃね!?ヤバい!逃げよ!」
女の子たちは走ってどこかに行ってしまった。
私は静かに藍ちゃんのぬくもりの中で涙を流した。
もうここにいられる時間はきっと少ない。