あの日【短編】
「…藍ちゃん、藍ちゃんは全部わかってたんだね」
「…いいんだよ、千草。泣きたいときはたくさん泣けば」
そんなことをいいつつ、藍ちゃんもたくさん涙を流していた。
「…私、あの日にすでに死んでたんだね。気づかずにずっと学校に通ってたんだね…。それを藍ちゃんと先生は見えてたんだ…」
「…龍ちゃんにも見えてたんだ?」
私がコクリと頷いた。
「ねぇ藍ちゃん…」
「なあに?」
「私のこと怖くないんだね…?」
「ばっかね、当たり前じゃない。生きてても死んでても千草は千草だもん。」
藍ちゃんは私の体を強く抱きしめた。
「…ありがとう」
ありがとう、
藍ちゃん。
私はしばらくここへは戻ってこれないのかもしれない。
藍ちゃんにも二度と会えないのかもしれない。
だけど幸せだね…
こんなにいい友達を持つことができたのだから……。