あの日【短編】


「椎名龍太さん、君がどうしてここの病院で寝てるか分かるかな?」


白衣の男は冷静な顔をして聴診器を耳から外した。


…僕がどうして病院で寝てるか……


「…全然分かりません」


僕が答えると白衣の男とお袋は目を合わせた。


「…本当に覚えてないの?…まあ仕方ないわよね…龍太、一週間も意識不明だったのよ…だけど本当に生きてて良かったわ」


お袋は口に手を当てて泣きはじめた。



僕が?

一週間も寝てた!?


「…まあどうしてこうなったかはまたゆっくりご家族の方と話すとして…君は頭を強く強打しており、あと二週間は入院が必要だからね。あと足もヒビが入っているから、しばらくは松葉杖で。」


冷静な白衣の俺は淡々としゃべった。


頭に手をやると包帯が何重にも巻かれていることが分かった。

足にも。


…一体何が起こったんだ?
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