桃色彼氏と帰り道
すると、駐車場に見慣れた
黒っぽい車が止まっていた。
「…ん?」
まさかとは思ったが
そんな都合のいい話はないな、
と自分に言い聞かせて
その車の横を通り過ぎようと
した時―――――
「こら。どこ見てんだよ」
大好きな声がした。
「えっ………!?」
車に乗っていたのは
さっき電話の向こう側にいた、
あたしの大好きな人だった。
「早く乗れって」
「え?え?なんでいんの??」
「あ?勘違いすんなよ?
ちょっとコンビニに用があっただけだから」
「わざわざ車で?」
「……乗れって」
プイと横を向いた悠夜、
可愛いな。
へたすりゃあたしより
可愛いぞ。