Tricksters
「…………いるなら出てきて誤解解けよ」
本気で、コイツ最低。
「俺に、助けられて復縁して
それでも淳一は満足か?」
「満足じゃない……」
問題は、李花が俺を信用してくれなかったとこだ。
「だろ?」
所長は、俺の隣に腰を下ろした。
「なあ、淳一」
「なんだよ、話かけんなよ」
聞いたこともない優しい声だ。
ムカつく奴なのに、泣けてくる。
相手がコイツじゃなきゃ
俺は本心を洗いざらいぶちまけてたかもしれない。
李花にもっと信じてもらいたかった。
「失恋て、どんな気分?」
「はあ?」
伏せてた頭を持ち上げた、奴はニヤリと笑う。
「俺、モテすぎて失恋なんてしたことないんだよな!
あはははは!」
あはは、じゃねーよ!