Tricksters
「はい。
広告をみて、よさそうな会社があったので面接に行って採用してもらいました」
「そうか!
よかった。淳一、独立したいって言ってたもんな?
金貯めて重機があれば、開業も夢じゃない。頑張れよ!」
「はい……」
俺は、苦笑いしかできない。
社長は心底嬉しそうに話す。
独立したいって話は、確かに社長に何回もしていた。
建設業界は、比較的独立しやすい業界だ。
もちろん生半可な気持ちじゃ無理だし、楽な業界じゃない。
社長は、そんな俺に何度も「経験積んで頑張れよ」と声をかけてくれていた。
それが無一文になった途端、『平均月収50万』という文字だけで"よさそうな会社"と決めつけて
結果、怪しい奴等と関わってしまった俺ってバカか?
そうだよな。
俺には俺の夢があったはずなのに……