Tricksters




このオッサン……
嫌いにはなれないタイプだ。


「すみません。オジサンの話なんて若い人にはつまらないですよね……」


「いや、そんなことないっす。

続けて下さい。俺、城田部長の話聞いてみたいと思いました」



城田部長は、嬉しそうな顔をした。



「その百円のステッキを持ってる子供は、クラスの人気者でした。

すみません。
綺麗な花が飛び出るステッキは、私の憧れでした」


城田部長は、垂れた目を細めた。



「社内で、この話を最後まで聞いてくれたのは所長とアナタだけですよ。

ありがとう真部くん」


城田部長に、『すみません』じゃなくて『ありがとう』と言われると、なんだか嬉しくなる。



「えっ、いや
そうなんすか?
深イイ話じゃないですか、面白かったです」





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