Tricksters
俺の日常返してくれよ……
「あれ? 淳一くん?」
俺たちが座るカウンター席の後ろに、若い女二人が立っていた。
「あっ?」
うわっ
最悪最低
一番会いたくないメンツだ。
「やっぱ淳一くんだ!
金髪じゃないし、スーツ着てるから全然わかんなかったーっ!」
キャーと声をあげた二人に、内藤部長が「うちのツレに何か?」と低い声を出す。
二人がギクッと固まったので、慌てて説明する。
「内藤部長!? コイツら、高校のクラスメイトです! 眞子と奈々、コチラは俺が勤めてる会社の企画部の部長さん」
眞子と奈々は、李花と仲がいい。
今でも友達なんだと思う。だから俺も、コイツらの顔と名前は覚えてた。
「あっら~淳一くんのクラスメイト♪ まあ、はじめまして~可愛いのね、二人ともお肌ツルツル」
明らかに内藤部長にドン引きな二人。
「内藤部長、俺ちょっとコイツらと店の外で話て来ます。
ほら、ここじゃ他の人に迷惑だから、な? な?」
「うっ……うん」