Tricksters
「他に、カメラ機能ムービー機能のついた機器をお持ちではないですか?」
受付の女の子は、アニメの声優みたいな甲高い声を出した。
「ないです」
俺が答えると、「ご協力ありがとうございます」と笑顔になる。
その笑顔のまま、内藤部長をジッと見つめる。
封筒は、手に持ったまま口を広げて内藤部長の方に向けられた。
「お客様は……」
「はいはい、わかったわよ」
内藤部長は、スーツの胸元から万年筆を取り出すと封筒に入れた。
それ、カメラなのかよ?
受付の女の子は、まだ封筒の口を広げたまま笑顔だ。
「わかったわよ!」
今度は腰の辺りから、コードつきの録音機みたいなものが出てきた。
コードをくるくる巻きながら封筒に入れられるが、女の子は固まったままだ。
すげーな、この子。
外見は高校生くらいにしか見えない。
バイトかなんかだろう。
顔が小さくて可愛いい、ピンク色の唇はリップなんかつけなくてもツヤツヤしてそうだ。
「わかったわよ! 全部出すわよ!」
内藤部長がスカートの中に手を突っ込むとデジカメが出てきた。
どこに入ってたんだ?