Tricksters
次にピアスを外して封筒に入れて。
ピンヒールの白い靴をひっくり返すと小型カメラが出てきた。
こえぇー
ニュースでこういう人いるよな?
盗撮マニアだ……
俺、できたら他人だと思われてー
それなのに、受付には人だかりができていて動くに動けない。
勝手に一人で中に入るわけにもいかねーし……
ああ、本気で最悪。
この人、どうにかして
「ご協力ありがとうございました」
封筒は二重に糊付けされて、『封』という特大スタンプをボンと押された。
「お帰りの際に、こちらの番号札で引き換えさせていただきます。ごゆっくり、お楽しみください」
ニッコリと笑った受付の女の子に舌打ちしながら、パンフレットを手に会場に入っていく内藤部長。
「ったく、こんなちんけな展示会。ちょっとくらい写したっていいじゃないの……」
ちんけな展示会なら、写さなくていいんじゃねーの? と思いつつも、渋々会場を見渡した。