Tricksters
それにしても、俺はまた
異様な場所に足を運んでしまったらしい。
『世界の手品グッズ展示会』は、それはそれは怪しい雰囲気を漂わせている。
ナイフが突き刺さった箱やら、ロープを巻きつけられた人形、何重にも絡んだリング。
「内藤部長、なんすか? ここ」
「手品グッズ展示会よ。
メーカーが新製品を展示して、手品師(マジシャン)がそれを買い付けにくるの。
いわゆる、手品グッズのマーケットで
後日オークションが行われるわ」
「ふーん」
マジシャンって、マジック買ってるのか……
「いくらくらいするんですか?」
絨毯がひかれた贅沢な会場を歩きながら、大して興味ない手品グッズを見て回る。
「物によるけど、数百万から数千万くらいよ」
「はぁああ?」
数百万から数千万!?
紫のカーテンがかかった箱から、水着姿の女が飛び出し拍手が沸き起こる。
あの、箱に数千万!?
水着姿の女つきで!?
でも、あの女なら受付の子の方が可愛かったぞ!?