Tricksters
「アイツ……所長は、脅迫状送ってきた奴の目星ついてるんですよね?
そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」
想像力
イマジネーションだ。
「うん、そうよね。
ゼンは大丈夫。いつも一人で、なんとかしちゃう人だから」
桶に張った水にタオルを浸して、キュッと強く絞るユカリさん。
その言葉は、本心だろうな……でも泣きたいのは、そんな理由じゃないんだろ?
俺がいるだろ?
アイツなんかやめとけよ。
そうやって言えたら、どんなにいいか。
でも、俺には
そんなこと言う資格なんかない。