Tricksters
その智から電話を受けると
『眞子から、聞いたぜ
今夜飲むから来いよ』
と誘われた。
所長室を出ようとしたとこでアイツに肩を掴まれた
『逃げんなよ淳一』と反対の耳元で囁かれ
聞き耳たてまくってたアイツは
『行けよ。飲み会』と物凄い形相で睨んできやがった。
そんな成り行きで、どうしてかアイツも俺のクラスメートとの飲み会に乱入している……
「ゼンさんは、彼女いるんですか?」
「いないよ」
ジェントルマンのように、口を引き上げて
ニコっと笑うと眞子も奈々も悶絶しながら盛り上がる。
そんな三人から、少し離れたカウンター席に俺と智は並んだ。
実は、アイツを連れてきて
ちょっと良かったと思ってる。
智と、ゆっくり話せるし
李花とのことを眞子と奈々から聞かれるのは、うんざりだ。
それに、智は”あの”武尊之で働いている。
色々聞き出すなら、今しかない。
って言っても、こいつが何か知ってるとは限らないけど
「仕事は慣れたか?」
高卒で就職した俺に比べて
智はまだ社会人になったばかり