Tricksters


「邪魔するなよ」


「邪魔? それってもしかして?」


ゼン所長は、口元押さえながら俺と智を交互に指さして「そういう仲」と吹き出した。


「んなわけなーだろ!」


コイツの頭の回路どうなってんだよ!

智は、「ゼンさんおもしれー」と爆笑している。



「眞子と奈々は?」

後ろを振り返ると、二人はなにやら真剣な顔をして一枚の紙と携帯を睨みつけている最中だ。


「二人が、俺のメールアドレス知りたいっていうからクイズを出した」


所長は、くいっと唇を引き上げる。


智は、「カッコいい男は、すぐにメアド交換なんてしないのか」と感心している。


所長は、ドリンクメニューを見て

「安物の酒しか置いてないな、この店」と店長に聞こえる声で言った。


しょーがねーだろ。

俺たちが、選ぶ店なんて安居酒屋しか来れねーんだよ!



「それで、どんなクイズなんすか?」


智が興味津々に所長に訊ねた。


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