Tricksters
俺は、枝豆を口に入れて
よく冷えたビールを流し込む。
確かに、この前所長たちと飲んだプレミアムと書かれた缶ビールの方が美味かったけどな……
「簡単だ。
ジャズのサックス奏者で、昨年ハリウッドのウォーク・オブ・フェイムにその名を刻んでいる。
俺が最近聞いたサックスの中で、一番いい音を出す」
「知らねー」
枝豆の殻を、器に投げ入れた。
ジャズなんて、やたらとコイツに似合うな。
その単語聞くだけで『はいはい、オマエは大人のカッコいい男だよ』って深いため息を吐きだしてやりたい。
「それで? 智くんとやら
うちの淳一とは、良いお友達なのかな?」
お前は、オヤジかよ!
智は、所長の言動がツボに入ったらしく
腹を抱えて笑っていた。
「はい、高校の時はクラスも一緒だったし、それなりに。
あと五人いつもつるんでる奴らがいて楽しかったよな? 淳一」
「……嗚呼」
つるんでた。
確かに、あの頃は適当に授業受けてバイトした金を全部遊びに使ってた。
李花もいてくれた。
悪いこともしたけど
夜遅くまで、バカみたいに騒いで
楽しかった。