Tricksters
「智! 助けて~
ゼンさんのメアドわかんなーい!」
眞子のヘルプに「しょうがねーな。携帯で検索してみりゃいーじゃん」と智が席を移動した。
「今日デメキンに行った時に、タカシくんに会って武尊之の噂の事言ってたぞ。
『俺は諦めない。アイツに伝えておけ』って言ってた」
所長は、フーっとため息を落してボソッととんでもない情報を俺に与える。
「タカシくんは、知ってるだろうな。
武尊之が倒産となれば、二十億の政府の支援金が使われること」
「にっにじゅーおく?」
声が裏返る。
「武尊之は、日本経済を支える大切な柱だ。それくらいの金額なら、政府は軽く出すだろう
もちろん公表なんてしないで」
所長は、クツクツと笑いだした。
「だから、奪われても被害届がだせないんだよ。"その手の金"は」
「おまえ……」
所長は、残りのビールをグイっと飲みほした。
「お前、今すげー悪人の顔してたぞ!!」
「だから? 言っとくけど、淳一くんも既に共犯だからな?」
なんでだよ……
俺の善良なる日々を返してくれ……