Tricksters
ダメだダメだ。
コイツに、俺の常識は通用しない。
居酒屋から、俺のマンションまでは
歩いて二十分程度
くだらない会話を繰り返しながら
結局、奴を招いてしまう。
部屋に入ってからは、
腹が減ったと勝手にピザの注文して
あげ句の果てには、夜遅いのにシャパネットガタガタから羽毛布団三点セットやらシルクのパジャマから歯ブラシまで
所長の言葉を借りるなら『お泊りセット』を無理やり取り寄せて
男のくせに、一時間半も風呂に入りやがって『コンディショナーがないだろ!』と激怒され
その間に、宅配物を受け取り
空いていた北側の部屋に『お泊りセット』を押しこんだら
『淳一は、客人を北側の部屋に寝かすのか!』とまた激怒され
で、結局
「淳ちゃん、おやすみ」
「淳ちゃん言うな! 気色悪い!」
「意識するなよ。ドキドキしちゃうだろ?」
「するか! バカ」
何故か、同じ部屋で眠る事に
「嬉しいのわかるけど、明日も仕事だから寝かせてくれ……」
と、そのままのびたレベルで眠りについた。
俺、一人がやりきれない気持ちで
中々眠れなかった。