Tricksters



「よう、淳一。
俺を追い返せって言われて来たのか?」


うっ、読まれてる……



受付ホールでは、デメキンのサイズが合わないオレンジ色の作業服を着たタカシくんが、せっせとマットの交換をしていた。


「うるせー、俺はミエちゃんに用事があるんだよ!」

腰より高い位置にある受付のテーブル。

その奥に、人形みたいに小さな顔して一直線に前髪パッツンされているミエちゃんが無表情に座る。



っても、用事なんてねー


最近、所長の寝顔を盗撮した画像をプレゼントして

かなり友好的な関係を築けてるんだ。


俺が困ってることくらい理解して話合わせてくれるよな?



「ミエちゃん、誰か俺を訪ねて来た人いる? 待ち合わせしてんだけど」


ミエちゃんは、首を横に振った。
前髪は、乱れない。


「アポイントがある場合は、前日までに知らせてください。私にだって予定があるんだから」


うわっ、手厳しい!
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