Tricksters
「管理課の尾林さんですか?
デメキンスタッフの方がモップの修理でお見えです。
はい、今通しますね」
なにを?
ミエちゃん、ダメだってば!
タカシくんは、勝ち誇った様子でメガネをクイッとあげた。
「モップの修理は、俺がやる!」
コイツを通したら、あの所長に何を言われるかわかったもんじゃない。
「ふざけんな、モップ甘くみんなよ! 淳一
モップの事ならデメキンへ!
これ常識なんだよ」
ニタニタ笑いに腹が立つ。
「いーから黙って帰れよ! 俺にも都合があるんだよ」
「営業妨害で訴えるぞ」
言い争う俺たちを前に、ミエちゃんが首を傾げた。
すると、トリックスターズの所内への扉が内側から開く。
「あー、ごめんなさい
デメキンさん! このモップなんですぅ」
中から出てきたのは、管理課の尾林さん
御歳四十×歳、三人の子持ち主婦
最近のマイブームは脱毛だとか……
尾林さんの手には、真っ二つに折れたモップが握り締められていた。
「ごめんなさいねー、今新商品の開発中で誰も所内に入れるなって言われてたんです。
ここで治せます?」
尾林さんナイス!
よかったぜ、命拾いしたー