Tricksters



「管理課の尾林さんですか?
デメキンスタッフの方がモップの修理でお見えです。

はい、今通しますね」




なにを?

ミエちゃん、ダメだってば!



タカシくんは、勝ち誇った様子でメガネをクイッとあげた。



「モップの修理は、俺がやる!」



コイツを通したら、あの所長に何を言われるかわかったもんじゃない。



「ふざけんな、モップ甘くみんなよ! 淳一

モップの事ならデメキンへ!

これ常識なんだよ」


ニタニタ笑いに腹が立つ。


「いーから黙って帰れよ! 俺にも都合があるんだよ」


「営業妨害で訴えるぞ」



言い争う俺たちを前に、ミエちゃんが首を傾げた。

すると、トリックスターズの所内への扉が内側から開く。




「あー、ごめんなさい
デメキンさん! このモップなんですぅ」


中から出てきたのは、管理課の尾林さん

御歳四十×歳、三人の子持ち主婦
最近のマイブームは脱毛だとか……



尾林さんの手には、真っ二つに折れたモップが握り締められていた。


「ごめんなさいねー、今新商品の開発中で誰も所内に入れるなって言われてたんです。

ここで治せます?」



尾林さんナイス!
よかったぜ、命拾いしたー


< 219 / 305 >

この作品をシェア

pagetop