Tricksters
「はっ……ハハハ
そんなのわかってるんだよ!」
余裕ぶってタカシくんの腕を振り払おうとしたけど、動揺バレバレだ。
俺は……ターゲット?
タカシくんは、デメキンのオレンジ色のキャップを取り出すと被り
そして、メガネをクイッとあげる。
「今日は、トリックスターズに侵入しようとしたわけじゃない。
侵入するなら、もっと人の少ないガードが緩い時を狙う。
俺は、淳一にこの情報与えてやりたかっただけだ。
ヨシミの事も、アッサリ手を引いたのはアイツの使いっぱしりになるターゲットが誰かを知りたかっただけだ。
詐欺師の世界は、奥が深く卑劣で冷酷だ。
金だけが全て。
お前は、
これ以上関わるな」
肩を二回叩いてタカシくんは、エレベーターで地上に向かった。
防犯カメラは、無機質に俺を見つめてくる。
アイツの狙いは、金だけ……