Tricksters


「ユカリさん、なんでアイツの秘書やってるんですか?」


ユカリさんは、今更どうしたの?と笑う。

サイドが緩く編み込まれた髪型が、めちゃくちゃ良く似合う。


「自由人すぎて苛々するけど

退屈しないから

ゼンといると、ハラハラドキドキさせてくれる」





アイツといると
ハラハラドキドキの連続か。


確かにな





スーツのポケットに入れていた俺の携帯が小さな振動をはじめた。



「ユカリさん、電話いいっすか?」


「いいわよ。ゼンも暫く皆と討論してるだろうし。

でも今日の仕事は、山ほどあるわよ」


「すぐに戻ります」


俺は、ハハハと乾いた笑い声あげてからけたたましく鳴り響く携帯を開く。



李花っ?


画面の表示には、久々に見る李花の名前。


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