Tricksters
とりあえず、ひたすら謝っといて。




――青天目ビルヂング
地下一階駐車場


『人』っていう字が、車体に埋め込まれた車の後部座席に乗ってる俺。


いやいや、理解はしてる。

『人』っていう字が、車体に埋め込まれた車は高級車だってことを


スロープをあがって地上に出る。そして大通りを走る高級車。


「ユカリさん、どこ行くんすか? 手品とかなんかそういうの、俺出来ませんよ?」


日焼け防止の為の長ーい手袋をして大きなサングラスをかけたユカリさんが運転してくれている。



「大丈夫。
今日のお仕事は、余裕よ。とりあえず、ひたすら謝っといてくれれば問題ないから」


「何に?」


「細かい事は、気にしないでいいから。

そうだ、これ
所長から採用が決まったから交通費とかにあててくれって渡されたの」


ユカリさんは運転しながら、俺に封筒を渡した。

封筒を開くと、ピン札が入っている。


< 23 / 305 >

この作品をシェア

pagetop