Tricksters
「あんな電話もらって俺がシカトするような奴だと思ってんのか?」
「それも、そうだね」
李花の、泣きはらした真っ赤な顔が笑顔になる。
「何があった?」
大体察しがつくけど……
これもアイツの罠の一部なんだろうけど……
「あのね……」
「まあ、いいや。とりあえず、そんなとこ座ってないで
新しいほうの部屋行こうぜ。
李花、一度来てるよな?
なんで、そっちに行かなかった?」
「それも、そうだね」
ドラムバックを掴んで李花を引っ張り出した。
ミュールを履いた足は、靴擦れが出来ていて所々傷があり赤く腫れていた。
「歩けるか?」
「大丈夫」
なんで李花が、こんな目に遭わなきゃならない。
「じゅんちゃん?」
泣きはらした李花を力いっぱい抱きしめる。
「ごめん……俺のせいだ……」
俺がアイツに騙されなきゃ
アイツの言いなりになんてならなきゃ……