Tricksters
シャパシャパシャパ♪ シャパネットガタガタ
────しーんと、
静まった俺の部屋
アイツが言ってた“例え話”が、現実になったのか?
李花は、この部屋に入った途端黙り込んでいた。
急いで李花を部屋に連れ込んだのが、迷惑だったのかもしれない。
連れ込んだけど……
俺たち
別れているんだ。
もう終わってる仲だったんだ。
「家に、送ろうか?」
李花は、体育座りしたまま顔を膝につけて俯いている。
さっきから、一度も顔をあげない。
「車で、送るからさ」
ちゃぶ台はさんで
離れた場所に座る李花は、小さく首を横に振った。
「帰りたくない」
帰りたくない……って言われてもなぁ
スーツの内ポケットに入れた携帯が、また振動する。
何度目だろう、職場放棄してるんだから当然か。
トリックスターズの事務所からの電話番号が表示されている。
そのまま、携帯の電源を切った。
李花を、一人にするわけにもいかないし
首になったら、それはそれで仕方ない。