Tricksters
「やったーゴールドだ!
すごいね! じゅんちゃん!」
李花は、大切そうにもっぷくんをぎゅっと握り締めた。
本気で嬉しそうに顔を綻ばせた後で気まずそうに苦笑した。
苦笑しながら離れようとする李花。
その肩を掴んで、また俺は李花を抱き締めてしまう。
こんな事、アイツはしないよな。
未練がましくてカッコ悪い。
だけど……
もし、これで李花に拒絶されたら俺は、人を信じることができなくなるかもな。
「ごめん……李花が、じゅんちゃんを信じなくて……酷いこと言ったのに……」
「俺もピンクゴールドの女神様に揺れた……
でも、李花が辛い思いしてるのは放っておけない」
李花の手を握ると、強く握り返してくれる。
久々に触れた李花の唇は、甘いストロベリーの香りがするリップクリームの味がした。
下唇を這うように、その感触をもう一度確かめる。
大丈夫だ。
俺は、今でも李花が好きだ。
ユカリさんじゃないんだ、李花が好きなんだ。
大きな瞳から流れた涙を拭ってやる。
このポジションに満足してる。
「でも、じゅんちゃん
李花が迷惑かけてばかりだから、嫌になったんでしょ?
今も、李花は追われてるし
逃亡中だし」
「迷惑だなんて思ってねーよ。
それに匿ってやってるだろ?
李花が、いたいなら
ここにいていい。
それから…………」
「えっ? 聞こえない」
「………………。
だからー!
やり直そうって言ったんだよ!」