Tricksters
コンビニ行くけど、何か買ってくる?
─────寝返りを打つと
腕枕として利用されていた右腕が痺れた。
ビリビリした痺れは、ほっとけばピリピリした刺激にかわって
直ぐに血が通い出し、元通りになる。
「もう、朝か……」
カーテンもかかっていない寝室。
寝室といっても、フローリングに布団が敷いてあるだけ
部屋の隅には、アイツが泊まりに来た時に置いていった羽毛布団三点セットが畳まれて積んである。
っていっても、俺が畳んだんだけどなっ!
隣には李花が、心地よさそうに寝息をたてていた。
こんなに、時間も忘れて体力の限界まで抱き合ったのは、いつ以来だろう……
李花の前髪を指ですくう。
「……ん」眠そうな声がかえってきた。
「シャワー浴びてくる」
返事はない。
そのかわり、また規則正しい
心地よさそうな寝息が聞こえてきた。
可笑しくて笑える。
マジで、こーいうとこ
李花はお子様なんだよな……
また、こうして二人で朝が迎えられるなんて不思議だな。
二度とない朝だと思っていた。