Tricksters
リビングのちゃぶ台の上には、ゴールドもっぷくんが転がっていた。
アイツが、俺たちに“こうしていていいよ”と言ってるみたいで腹が立つ。
俺は、もっぷくんを睨み付けると熱いシャワーを浴びにバスルームに入った。
もちろん、今日も出社するつもりはない。
タカシくんの言ってたことを鵜呑みにすることもないんだろーけど、昨日のシャパネットガタガタの放送を見て俺は凄まじい達成感を感じたんだ。
俺たちの、製品がテレビで売られてる!
ってな
俺なんて使い捨ての社員でしか過ぎないのに、こんなことで達成感抱く自分が哀れで仕方がない。
シャワーを浴びてリビングに戻ると、体にシーツ巻きつけたままの李花がゴールドもっぷくんを指先で回して遊んでいた。
「おはよ、じゅんちゃん……これ御守りにしよーと思ったんだ……」
「それより、腹減っただろ?
コンビニ行くけど、何か買ってくるか?」
「ヨーグルトとサンドイッチ……サンドイッチは」
「卵とシーチキンだろ?」
李花は、寝起きの顔で嬉しそうに頬杖をついた。
「うん、よろしく」
「おう
シャワー浴びてこいよ。着替えはあるんだろ?」
李花は、ドラムバックを叩いて頷いた。