Tricksters
──────「ただいま」
マンションに帰ると心配そうな顔した李花が、迎えてくれた。
その顔を見たら、さっきの怒り任せな自分の態度を謝りたくなった。
「李花ごめん」
「ううん、タオル持ってくる。手紙は、コレだよ」
親愛なる淳一へ
ペン習字の手本みたいな文字。
手書きで、几帳面に書かれている。
間違えなくアイツの書いた文字だ。
「はい、タオル」
李花が首からタオルをかけてくれた。
俺は、その場に座り込んでビリビリと封を開けた。
───親愛なる淳一へ
昔から秘め事は、夜に行うと決まっているのは何故だと思う?
その悪事を全て闇が染め上げてくれるから……そう言えば、女は喜ぶだろうな。
危険な男はモテる。全てがクリーンな男より、多少グレーゾーンを残しておくべきだ。
ところで、我が社適応率50%と予測されていた君だが、社員からの反応はすこぶる良かった。その理由は、俺にはわからないが淳一はよくやってくれたと評価している。
タカシとのやり合いに淳一を使ったのは間違いだったかもしれない。
タカシは、予想以上に手ごわかった。次は俺が直接手を下そう。
内藤部長との任務で根をあげると思っていたのに、忍耐力があるんだな?ダメなら
それならそれで、愛人宅の見張り役に使おうとしていたが、淳一は毎日出勤してきやがった。
別に構わないが、他の見張りが必要になって無駄な出費が増えた。
本題に移ろうか?
「はやく移れよ!」
俺は、苛々しながら次の便箋を広げた。
それもアイツの罠なんだろうなと考えると、余計に苛々した。