Tricksters
カーテンのない窓からは、薄く弱い光を放つ月が見えた。
暗い夜だった。
李花の髪を撫でて、優しく唇を合わせる。
「俺のこと、信じてる?」
「信じてるよ。……もう、ほんとゴメン。じゅんちゃんは、李花を助けに来てくれた。
それなのに浮気してるって言ってゴメンね」
舌を絡めて、甘い吐息すら呑み込むような激しいキスにシフトチェンジ。
李花が必死にしがみついてきた。
俺たち二人の間には、また一つ信頼という絆が増えた。
元々、李花は貪欲な女だった。
どんな口車にのせられたのか、ヤミ金になんか手を出す女じゃなかった。
李花は、何も欲しがらない女だ。
俺を受け入れて信じてくれる存在だった。
李花の存在が心地よすぎて俺は甘えていたのかもしれない。
「じゅんちゃん、好きだよ。
もう、疑ったりしない」
「俺が、何しても?」
「きっと、理由があるんだと思う」
「浮気したい放題だな?」
「もう! バカ」
わかってるよ……と呟いて、李花を抱き締める。
「ピザを隣に届けてくる」
「うん」