Tricksters
ダメだ……
オッサンたちは、腰抜かしていやがる。
これじゃ、アイツの猿芝居であっという間に奪われる。
やべぇー!
究極の選択!
佐伯社長とタカシくんに渡すか……
社長は新しく仕事についたばかりだし絶対に失敗なんてさせたくない。
しかも、隣で腕を組んで余裕綽々で微笑んでるアイツはフィーチャネスを潰し佐伯建設を倒産に追い込んだ張本人。
アイツがまた佐伯社長を追い込むなんて、俺は絶対に嫌だ。
でもタカシくんはそれを知っていて、俺と佐伯社長の関係も掴んで利用している。
それはそれで、許せねー。
「淳一、どーするんだ? 男なら早く決めろよー」
ゼン所長は、他人事みたいにヤジを飛ばした。
「うるせー! 俺がおまえにコレを渡すことはねーよ!」
アイツを睨みつけると、余裕綽々の笑みが傷ついた顔になる。
「ないの?」
「ねーよ!」
俺たちのやり取りにタカシくんは、腹を抱えて笑った。