Tricksters


─────「だから、おまえ消えるって言ったじゃん」


「うん、だから忘れ物をしたんだよ」



ズカズカと俺の部屋に上がり込むアイツ。



「じゅんちゃん! おかえりーっ
停電大丈夫だった?」


「李花! 気をつけろ! そいつ詐欺師だから!」


「えっ? 詐欺師」


アイツは膝をつけて、警備員の帽子を取る。
王子みたいに立て膝をつくと李花の手をとった。


「はじめまして、李花ちゃんだね。
淳一から君の話ばかり聞かされていたよ」


李花の頬が徐々に赤くなっていく。


「カッコいい人……」


「李花騙されるなって!」






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