Tricksters
「予想以上に可愛い人だ。
淳一に嫉妬しそうだ」
アイツが悔しそうに儚く微笑むから、俺はその背中に蹴りを入れた。
「蹴った! 今、淳一が俺のこと蹴った!」
「当然だろっ! 人の彼女に色目使うからだ!」
「だからって、蹴っちゃいけないって幼稚園で習わなかったのかよ!」
「その日、欠席してたんだな。習ってない!」
「嘘だ。淳一は、健康優良児で幼稚園は皆勤賞だったっておばあ様から聞いている」
「なんで、おまえがばーちゃんの話聞いてるんだよっ!」
「ふふふ、またやってるのね」
聞き慣れた笑い声。
「ユカリさん、この人が善太郎さん? 本当にじゅんちゃんと仲良しだね」
なんで、李花がユカリさんのこと知ってるんだ?
「そうでしょ。李花ちゃん、仕事中もずっとこうやってイチャイチャしてるの。
ヤキモチ妬いちゃうでしょ?」