Tricksters
この声は……
「李花? お前、なんでここにいるんだよ?」
「私は、女友達と待ち合わせしてたんだよ!
じゅんちゃんこそ!
今の女だれよ? 腕組んだり、仲良さそうに喋ってた!!」
李花は、悔しそうに俺を睨み付けると
大きな瞳から、ポロポロと涙が溢れ出す。
「違う! 李花泣くな!
なっ?」
なんて説明すれば理解してもらえるんだ?
お前のせいで無一文になって、リストラされて、平均月給:50万に釣られて、青天目ビルヂングのよく探さないと入れない地下一階で、"手品とかなんかそういうの扱う仕事"もしくは"人間関係のトラブルを解消したりとかなんかそういう仕事"する会社の面接を受けて、採用されて、変な男前所長と綺麗なセフレ秘書に……元セフレになったのか?
まぁ、今はそんなことどうでもいい。
そして、とりあえずひたすら謝っといてと言われてやって来たけど、俺は十五万を借りて逃げるつもりで、でも修羅場に送り込まれて……
ってことを、どこまで李花が理解してくれる?