Tricksters
「じゅんちゃん……李花がお金借りたから嫌気がさして、普通の女の人と付き合うんでしょ? うぇっ」
李花が嗚咽を漏らして泣き出す。
最悪だ。
次から次へと、通行人の視線が痛すぎる。
「誤解だ。李花
話せば解るから、とりあえず俺の部屋に帰ろうぜ」
小柄な李花の肩を掴むと、李花は俺の手を叩き落とした。
「李花のハジメテは、全部じゅんちゃんにあげたのに!!」
頼むから、そういう事を大声で叫ぶんじゃねーよ!
「カッコいいじゅんちゃんが大好きだったのに……」
なんで過去形なんだ?
「李花、落ち着いて話をしよう。俺も、李花が好きだ」
「もう別れる!! 大嫌い!!」
なんでそうなるんだよ?
アイツは、俺からジワジワと全てを奪っていく。
たった一人の、大切な彼女さえも……