Tricksters
「大丈夫ですよ!
全てお任せパックです!」
ニーチャンは、グイッと親指を突き立てた。
「一時間後に全て引っ越しを終えて、いつも通りの生活ができます。我々に任せて、漫画喫茶でも行っていてください!」
「………………」
ニーチャンの後ろには、『細やかな配慮』と書かれたワッペンを胸に貼り付けた女性スタッフが白い手袋をして仕事のスタンバイをしている。
「ちょっと待てよ。
お前たちも、アイツに何か言われてるのか?」
オヤジとニーチャンの顔に、ハテナマークが浮かぶ。
「アイツだよ。トリックスターズとかいう会社の、ゼン所長」
「前所長?」
「違う、そんな過去の産物みたいな男じゃなくて
何考えてるか、よくわかんねーかんじの
すごいムカつく男前だよ。
そいつに何か言われてるんだろ?
『とにかく俺を追い出せ』とか」