Tricksters
『いつかちゃんと挨拶いかねーとな、李花を俺にください。って死ぬ気で頭下げるから』
『うん。じゅんちゃんの、そういうとこが一番大好き』
赤い煉瓦の門についた、カメラつきインターホンを押す。
庭は、白いペンキで塗られた柵で囲まれていて
お伽話の中に出てくるような家だ。
「はい。どちら様でしょうか?」
「あの、俺
真部淳一です。李花と……いえ李花さんとお付き合いさせていただいております」
インターホンは沈黙した。
胃がキリキリと痛む緊張が、俺を襲う。
「お待ちください」
李花の母親だろうか?
少し冷たい声で言うと、ガシャンと音がしてからインターホンは無音になる。